omake−10
                                                  
++お久ですにゃ++                        2006/10/20 fri.

私がお風呂に入った後は 湯船の蓋の上で暫らく過ごすのが日課のくるみ
湯たんぽみたいにポッカポッカ ええ塩梅なんでしょう
ほど良く抑えられた光線が射し込む空間はまどろむのにはぴったり
近頃は 昼間もお風呂場で過ごしているみたいです
擦りガラスを通った光は日常を忘れさせるだけの魔力があります
猫にも忘れてしまいたい事なんてあるのかしら…

++氷の世界++                        2006/10/10 tue.

この3連休は ”紅葉観賞”がコンセプトだった
日程が短いこともあり、取り付きも楽な中央アルプスを選んだ
簡単=観光客も多い、ということになるが、
誰しも紅葉を愛でたいという気持ちは同じ、今回は混雑を覚悟しての山行だった
8日の日曜日からは悪天候も回復するという天気予報を信じ、
7日の土曜日に大阪を出発。
夜は露天風呂温泉に入ってから車の中で就寝
日帰り登山客は もうバス停に列を作っていたが
朝5時に起きて仕度を始める
「よしよし、天気もええし予定通りやな…」

しかし、いざ入山してみると
紅葉どころか そこは、まさに冬山
トレースも樹木も岩肌も、全てが凍っていて氷で封じ込められているのだ
もしかしたら、通常の冬山よりも状況は厳しかったかもしれない
引き締まった雪の上を歩く方が安全である
白い雪景色は何度も体験しているが、一面シルバーの鈍い光を放っている光景を見るのは初めてだ
無事に下山したからこそ言えるのだが、”紅葉”よりも美しく貴重で楽しい体験だった以後、忘れることのない山行となるだろう
・観光客でごったがえしている千畳敷カールを想像していただけに拍子抜け
寒過ぎて、”散策”どころではないんだろう。バスやロープウェイに乗るだけで長時間待たされたのが嘘のように
歩いているのは殆どが登山客ばかりだった
・この道標は読めるので、まだいい
場所によっては文字側に氷が張り付いてい
て全く読み取れなかった
一度訪れている山なので
全く不安は無かったが、初めての山だったら、
やはり不安だったろうと思う
春や冬に行きたい山は、条件の良い夏に登
っておくこと!という教えは
まさにこの事である
状況が切迫している場合
引き返すべきか、このまま進み近くの小屋ま
で行くべきかは、訪れたことのある山でないと
判断は難しくなるだろう

ホワイトアウトで視界が望めないと
方向を誤り、遭難する可能性が高まる
 ・トレースは どこもかしこも
 凍てついていて、一歩間違えば滑落
 に繋がる
 宝剣岳からの下りは緊張の連続

・山小屋は本当に有り難い
外は氷点下でも こうして暖かい食事を摂ることが出来る
このメニューは中の上かな?
帰りのロープウェイで会ったテント組みの人たちの談
「寒くて寒くて、地獄だった。未だに寒さが取れない…」
恐らく シュラフも冬山用ではなくて
スリーシーズン用だったんだろう

以前登った時は 特に怖い思いをした記憶もない宝剣岳 2931メートル
アイスバーンになっていても慎重に足を運べば大丈夫!という自信はあったが
徐々に険しくなっていく頂上直下の鎖が所々凍っていた時は流石にたじろいだ
なんせホールドすべき岩は氷で覆われているので頼みの綱は鎖だけだったからである。 鎖全てが凍っていたら、登るのは絶対止めていた
写真は天候が回復に向かっている夕方に撮ったが、登った時は…

中央アルプスは吹雪くことこそなかったが、とにかく風が強くて体を飛ばされないようにストックを使って3点確保したり、踏ん張ったりで
途中で写真を写す余裕もなかったが カメラを出したところで
すぐに雲ってしまい役には立たなかった
春山には登るが真冬のアルプスに登ったことはないので
外にいるだけで ザックからグローブから見る見る内に凍っていくなんて経験は初めてだった。遭難した人達の多くが凍死だったと帰ってきてから知り、大納得である
北アルプスの西穂高岳も行き先の候補にいれていたので
どうなっていたことやら…
中央アルプスでも五十歩百歩や!という声が聞こえてきそうです ハイ
装備は 吹雪いても対応できるようにしっかり用意していたので
慌てはしなかったが どんな簡単な山でも侮ってはいけない事、
改めて身を持って痛感させられた
亡くなられた方がたは、過信はしていなかっただろうが
万が一…という設定のもとに準備はしていなかったのかもしれない
まさか秋の行楽シーズンに…
装備だけでなく、体力面でも言えることだ
体力がないと、すぐに低体温症に陥り 判断能力がなくなり動けなくなる

実は、紅葉も素晴らしいという御岳山も候補に入れていた
最後の最後に中央アルプスを選んだのである
かの山も同様に荒れていて、当日キャンセルが相次ぎ、登山客は誰もいなかったという。そして残念なことに 御岳でも9合目辺りで凍死者が出たようだ
もし、御岳にしていたら
「何度も訪れている山だ!大丈夫、大丈夫!」と過信して強行突破していただろう私が無事に下山出来たのは ただラッキーだっただけの事とも言えなくもない

過去の遭難事故の内、多数の死者が出たのは
10月の体育の日の連休辺りに集中していることを付け加えておきます


一晩中吹いていた強風もおさまり、9日の朝は打って変わって穏やかな天気
いっぱい着込んで 日の出までの30分を宝剣岳直下で過ごす
低気圧が去った後の空気は澄み渡り
ブルーブラックからダークオレンジに至るグラデーションが素晴らしく
今までの山行の中で 最も印象に残る日の出となった
甲斐駒ケ岳の右横からお天道さん  右端に写っている台形の山は富士山


9日 宝剣山荘付近でのショット
ハイマツもぜ〜んぶ凍っていました 白濁していなくて透明なんです
まるで水中に居るみたいな 不思議な感じ 



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